ぶれすと

「みんなで創る」をやりきった。ぶいすぽっ!文化体育祭の舞台裏と振り返り

本日は株式会社Brave group イベント事業本部に所属するイベントプロデューサーの宮坂に、2023年 10月31日から11月5日までの6日間開催となった「ぶいすぽっ!文化体育祭」実施の背景や、本イベントにかける想いを、開催当日を振り返りながら聞きました。

株式会社Brave group イベント事業本部

宮坂 実弥

工業高校を卒業後、通信機器メーカーで営業職に従事。その後、バンドマンとして活動する傍ら、ライブハウスの運営業務に従事。楽曲制作事務所やアイドル運営事務所に転職し、タレントマネジメント業務やライブ企画および運営業務を経て、2021年10月に当社に入社。

今回のインタビューも宜しくお願いします!

前回のインタビューぶりですね。
前回は私が所属するイベント事業本部の組織と、今後のミッションについてお話しをさせて頂きました。
今回は昨年の10月31日から11月5日まで開催をした「ぶいすぽっ!文化体育祭」について、お話しができたらと思います。

よろしくお願いします!
さて、「ぶいすぽっ!」としては初の単独イベント。かつ、6日間開催の大型イベントでしたが、まずは「ぶいすぽっ!文化体育祭」実施の背景からお伺いできますか?

「ぶいすぽっ!文化体育祭」の企画は2022年の夏頃から温めていたものでした。
2022年の春頃に自身がぶいすぽっ!のイベントを担当することになった際に、2つのイベントを構想していました。

1つ目は夏祭り、2つ目は文化祭です。

1つ目に構想していた夏祭りは、2022年に「ぶいすぽっ!」 × 「神田明神納涼祭り」という形で実現することができました。
夏祭りは想定以上の動員や天候不良により開催期間を短縮せざるを得なくなってしまうなどのハプニングがあり、初のイベントという事で多くのお客様から課題点や改善点等のお言葉を頂きましたが、ぶいすぽっ!初の大規模なオフラインイベントとして、楽しんでいただくことができました。
また、当初は文化祭を夏祭りよりも先に開催する方向で進めていたのですが、会場や予算、納期など様々な要因から、先んじて夏祭りを実施することになりました。

1つ目に構想していた夏祭りの成功を経て、2つ目に構想していた文化祭の開催に向けて準備を進め始めたという形です。

神田明神納涼祭りの成功があったからこそ、ぶいすぽっ!文化体育祭の開催に繋がったんですね。

以前のインタビューでお話ししたとおり、「当社グループでなければ体験できないイベント」で、お客様の心を打ちぬきたいと考えていました。
2つ目に構想していた文化祭については、当初は展示会場やイベントスペースに学校のようなセットをつくり、その中で一般的な学校行事を模したイベントを行うことも検討していたのですが、それでは「当社グループでなければ体験できないイベント」ではなくなってしまいます。そこで、株式会社バーチャルエンターテイメントのぶいすぽっ!運営チームや当社イベントチームのメンバーと何度も議論を行った結果、「実際の学校で文化祭イベントを開催したら面白いのではないか」という結論に至りました。

そうなんですね!確かに、実際の学校でのイベントというのはとても印象的でした。

当社グループは業界の中では後発の立ち位置です。また、ファンの中には他社様のイベントにも足を運んでいらっしゃる方も一定数いらっしゃるため、大規模なホールを借りて開催するような内容の催しですと、他社様との差別化ができないと感じました。
当社グループだからこそ体験できるイベントを行いたいと検討していく中で、より密度で濃いイベントを開催したいというぶいすぽっ!IP運営チームと議論を重ねた結果、「文化祭=リアルな学校」で開催したほうが、より文化祭というイベントに没入できる空間をつくりあげることができるのではないかと考えました。

また、展示を見るだけですと一日の半分も使わずにイベントが終わってしまいますよね。

そのとおりです。
元々こういった大型イベントを企画するのであれば、お客様が飛行機や新幹線を使って遠方からお越しいただいて、2、3時間楽しんだ後には会場内を回り尽くしてしまうようなイベントでは、楽しみにしてくださっていたお客様に申し訳ないと考えてました。
そこで「学校での催し物」というキーワードで企画の連想を行った結果、ぶいすぽっ!メンバーとお客様とが「一体=チーム」になって楽しめる体育祭を開催したら面白いのではないかという思いがあり、本イベントでは文化祭と体育祭を合同で行う形となりました。

そのような背景があり、「ぶいすぽっ!文化体育祭」が企画されたのですね。
それでは、ぶいすぽっ!文化体育祭の開催当日までに、印象に残っていることをお聞かせください。

特に印象に残っていることは、地方自治体との連携でした。
自治体の了承を得た上で、さらに周辺にお住まいの方々の理解も得るため、私やイベント事業本部のスタッフが会場の茨城まで赴き、周辺にお住まいの方へ直接説明をしました。

周辺にお住まいの方へのご説明は、大きく2つのステップに分けて行いました。
1つ目は、会場がある自治体の町長さんへのご説明で、2つ目は周辺にお住まいの皆様へのご説明です。
ご説明をする中で、住民の方々へ回覧板を用いてイベントに関するお知らせを共有いただくことになりました。
しかし、回覧板の特性上、イベントに関する情報を確認いただけたか、チームですべて確認状況を把握し切ることが難しいという課題がありました。そのため、回覧板を見ていただけなかった場合、「イベントが行われることを知らない」まま当日を迎えてしまう可能性もあります。

イベント開催期間中はスピーカーから出る大きな音がうるさいと感じる方や、夜になるとLED照明や花火が眩しく感じる方もいらっしゃいます。本イベントの開催情報を確認されていないという可能性を限りなくゼロに近づけるため、回覧板での周知だけでなく、私やイベント事業本部のメンバーが、会場周辺にお住まいの方に直接お伺いし、説明を行うことにしました。

なるほど!一軒ずつご説明をしに回られたのですね。

説明を行うだけではなく、気になったことがあればお問合せをいただけるように全ての方に私の名刺をお配りし「何かあったらすぐにお電話ください」と伝えました。
しかし、準備期間中や当日も含めて何事もなく準備が進み、周辺にお住まいの皆様から「文化体育祭に行きたい」というお問い合わせをいただいたほど、寛容に迎え入れていただきました。

暖かく迎え入れてくださったんですね。

はい。
自治体の方の協力を得られたところから、本当の意味でのイベント制作がスタートとなりました。
ただ、イベント当日を迎えるまでも、様々な課題をクリアする必要がありました。
例えば、お客様に1日中イベントを楽しんで頂くためには、こまめに休憩頂く時間も必要です。そのため、できるだけ多くのお客様がゆっくりとお休みいただける広い休憩スペースを確保する必要がありました。
最終的に今回は学校の横にある保育園の敷地を使い、お客様の休憩スペースを設けることにしました。

私も保育園の広い休憩スペースには驚きました!
体育祭の参加者がゆっくり休んでいらっしゃいましたね。

はい。
当初は全て学校内に休憩スペースを設ける予定でしたが、開催できる催しが少なくなってしまうことや、お客様の動線が分かりにくくなるため、保育園の敷地を利用する判断に至りました。その保育園は別の保育園と合併することになり、イベント開催期間中は当初の想定以上に広く休憩スペースを確保することができたためです。
イベント直前の9月までは学校の敷地以外のスペースを使えないと考えていましたので、もし保育園の敷地を使用できなければ飲食や物販のエリアは大幅に減っていたと思います。

休憩スペースの確保以外にも、様々な課題に対して出来うる最大限の対応を目指し、アクションをとり続けたことも印象に残っています。
例えば、会場最寄りのバス発着場からイベント会場である学校までは距離がやや遠く、道が入り組んでいるという課題がありました。周辺にお住まいの方々にもご協力をいただきながら、通学路でよく見かけるような標識を作成・設置しました。お客様を会場まで誘導しつつ、会場に着く前から楽しんでいただける施策を用意できたのではと考えています。

また、校舎内や体育館ステージ、遊戯屋台の会場内は靴を脱いでいただく必要がありまして、本来入場特典の袋に入れて頂く想定でしたが、予想以上になるべく汚さずに持って帰りたい方が多く、校舎内と校庭を行き来するお客様にご不便をおかけする懸念がありましたので、お客様一人ひとりに靴袋をお渡しする対応も行いました。その他、グループ内からサポートに来ていただいたメンバーにも協力いただきながら、お客様とパネルの写真撮影をお手伝いするなど、イベントを楽しむうえで重要であるおもてなしについても徹底しました。
上記のような細かなアクションをし続けたことで、お客様からご評価いただけたイベントになったのではと考えています。

確かに、私自身も会場にお越しいただいたお客様がSNSに投稿されていたお褒めの言葉がとても印象に残っています。

そうですね。
例えば体育祭での「玉入れ」や「綱引き」など、ぶいすぽっ!メンバーとお客様が一体となって、心から楽しんで下さったからこそ成功できた催しだったと感じています。
また、成功はぶいすぽっ!メンバーとお客様だけではなく、自治体や近隣の皆様からのご理解とご協力のおかげでもあると考えています。
当社グループが主催するイベントを通じて、当社や当社で運営している事業について周辺にお住まいの方々に少しでも関心を持っていただけると嬉しいです。そして、新しいエンターテインメント、特にVTuberに対する興味も持っていただけたらなおさら喜ばしいですね。

近隣の方と一緒に盛り上げる、町おこし的な要素も感じられる雰囲気でした。
とはいえ、当社グループでは前例がないイベントであったため、開催までにたくさんの困難を乗り越えられたと思いますが、その点はいかがでしょうか?

はい。特に困難に感じたことは2つあります。

1つ目は開催期間の設定です。
今回のイベントは、ぶいすぽっ!史上初の6日間連続開催で、毎日多くのお客様にご来場いただきました。
そして、当社グループで今まで行ってきたイベントの中でも最長かつ大規模なイベントです。
もともとは2日間開催の企画でしたが、最終的には開催時期、会場の収容人数、そして、なるべく多くのぶいすぽっ!ファンの方にご来場いただきたいと考え、6日間の開催となりました。先にもお話ししたとおり、6日間というのは当社グループでも最長かつ大規模なイベントで、ぶいすぽっ!を運営するバーチャルエンターテイメントとしても、挑戦的な試みだったと思います。バーチャルエンターテイメントやBrave groupの経営陣の皆さんと何度も協議を行い承諾をいただけた時は、安心感と併せて何としてでも本イベントを成功させなければと熱意で胸が満たされていましたね(笑)。

そして、2つ目は会場そのものの選定と、会場の収容人数の調整です。
イベントではグッズなどの物販の他、屋台やゲームコーナーなど、利益を生み出すための営利活動を行いますが、開校および運営している学校である場合、自治体や行政が管理を行っていることから、営利活動を行うことが非常に難しいです。

しかし、本イベントの会場となった「金江津小学校スタジオ」は撮影スタジオに管理を譲渡された廃校であったため、厳密には学校ではなくスタジオです。そのため、屋台やゲームコーナーなど、お客様に楽しんで頂けるような企画を実施することができました。
一方で、小学校自体は身長が小さく体重も軽いお子様がメインで使用する施設であり、多くの大人が利用する目的で設計されていませんが、本イベントは多くの大人の方が来場されることが想定されていました。
ましてや古い建物でしたので、建物自体の耐荷重などの問題から、多くの大人の方を一気に収容することが難しいという問題がありました。
そこで、会場を運営する会社様と何度も協議を行い、約数千人前後での上限人数に落ち着きました。

社内外との交渉や調整が、開催に至るまでの困難だったのですね。では、どういった点にやりがいを感じましたか?

お客様が楽しんでいる表情や喜んでいるお声を間近で見れたことです。これは前回のインタビューでもお話しさせていただきましたね(笑)。
また、「ぶいすぽっ!」はファンの皆様と運営、そしてぶいすぽっ!メンバーの距離感が近いところがコンテンツの強みであり、皆様から魅力としてご評価をいただいている点だと考えています。その距離の近さを存分に活かし、お客様とメンバーが相互にコミュニケーションを行えるイベントにすることができました。例えば「放課後トーク」のような1on1イベントや、廊下と校庭に設置した定点カメラ、そして体育祭パートではお客様同士で競い合っていただくような施策です。ファンの方同士で綱引きをするような光景は、VTuberのイベントでは今まで見たことができない光景だったのではないでしょうか?
イベント事業本部として「当社グループでなければ体験できないイベント」を創ることに日々挑戦をする中で、「お客様が求めている楽しさ」と「イベント事業本部が創るべき楽しさ」がマッチした施策であれば全て実行しようと考えています。

私たちの挑戦は今後も続きます!「ぶいすぽっ!文化体育祭」を経験された方は、是非当社グループが展開する今後のイベントにも足を運んでいただきたいです。その際に本イベントを思い出していただき、コンセプトや特徴を比較しながら、私たちの挑戦について感じ取っていただければと思います。

今後実施されるイベントにも期待が膨らみますね!

今回はBrave group イベント事業本部が提供するイベントの土台を作ることができたと思っています。
今後もBrave groupとして様々なイベントを開催していきますが、その度に「ぶいすぽっ!文化体育祭」以上の満足感をご来場いただく皆さんに感じていただけたら嬉しいです。

当社グループが企画するイベントに対して、お客様からの期待値も上がっていきますね!

はい。
私自身、エンターテイメントにおけるイベントでは、お客様が「行ってよかった」と感じることは当たり前であると考えています。イベント事業本部として、「行ってよかった」という感情以外で、もう2つか3つ、ファンの皆様の心をうちぬく要素を追加できるように価値提供をしていきます。
当社グループではぶいすぽっ!以外にも魅力的なIPを多く運営しています。私たちと各IP毎の強みや特徴を活かしながら、お客様に「なにを伝えたいのか」、「どのような感動を届けたいのか」を明確にしたイベントを作れるよう、イベント事業本部のメンバー全員で挑戦を続けます。

最後にイベント事業本部として、文化体育祭を振り返っていかがでしたか?

今回のイベントにおけるイベント事業本部のコンセプトは「みんなで創る」ぶいすぽっ!文化体育祭でした。
「みんなで創る」というのは、準備から開催期間中の一体感、周辺にお住まいの皆様からサポートいただいている温かさ、そしてイベントを終えた時の達成感を、ぶいすぽっ!メンバーやイベント事業本部、サポートスタッフ、お客様と味わうことだと考えています。

大人の方は「学生時代の文化祭や体育祭」を思い返して懐かしんでいただいたり、現役学生の方は他校の文化祭や体育祭に参加しているような感覚を持っていただけたのではないかと思います。
本イベント開催の直前では、イベント事業本部のメンバー全員で夜遅くまで作業をしなければならないタイミングもありましたが、私自身も学生時代に戻って文化祭の準備をしているような感覚で、イベント事業本部全員で楽しみながら、時には熱く意見を交換しながらイベント準備や運営に取り組んでいました。私たちが楽しんで仕事をしているからこそ、お客様にイベントを通じて「楽しさ」を伝えられると考えていますからね(笑)。

私たちが企画し運営するイベントをお客様に楽しんでいただき、そしてイベントを通じてお客様の心をうちぬくことが、Brave groupとして、またイベント事業本部として1番に目指すべき目標です。
今後もライブやイベントをはじめとした様々なイベントで、お客様も、そして私たちも楽しめるようなイベントを創り続けるために、イベント事業本部全員で挑戦し続けます。

今後のイベントも楽しみですね!本日はありがとうございました!

ありがとうございました。

 

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